中小企業がM&Aで気を付ける点(買い手編)

2014-09-11
 
 
木本公認会計士税理士事務所 木本です
 
今回は、中小企業が他社を買収する際に気を付けたい点をご説明します
これまでの私のM&Aアドバイザリー業務の中では、以下のような点が、M&Aの難しい点かと思います。
 
買い手から見たM&Aでの困難あるいはリスク
 
1. 当初の想定した効果の実現性
2. デューデリジェンス(買収監査)が十分で無いために、不測の事態が発覚する可能性
3. 1.に関連しますが、買収対象会社の本来の強みを読み違える可能性
4. 高く買いすぎてしまう。また、逆に、入札案件では、不当に高額であると錯覚してしまう
5. 事業モデルの認識が十分でなく、また、税務スキームの検討も十分でないため、当初想定キャッシュフローが獲得できない
 
上記の困難な点やリスクといった点については、以下の点が問題だと考えます
1. 買収対象会社の業界に関する理解の有無
2. 買収対象会社のデューデリジェンスが不十分であること
3. 事業構造をモデル化して、事業計画を把握していないこと
4. 買収を行っている段階で、人事面なども含めて十分な対話がなされていないこと。買収会社の人員が、買収対象会社の人員との間に、上下関係を感じていること
 
1~3については、相対の案件であれば、基本的には買い手側がその意思で行うかどうか?十分な経験を有する専門家を起用しているかどうかが問題になります
 
特に、会計監査の中心の会計士や税務業務を中心の税理士などの専門家が行う買収監査は、単に会計処理が正しいかどうかという面の調査になってしまい、本来のデューデリジェンスが行えません
この点は、M&A取引に精通していないと、ポイントが分かりません。
 
具体的には、以下のような点です
1. 単純連単倍率が1.5倍以上なのに、連結決算を対象会社が行っていないため、連結決算見込みを作らず、調査を終わらせる
2. 固定資産の減価償却方法が、買い手と大きく異なっていたり、償却不足が過去にわたって存在するが、資料が無いため、償却不足額の見積もりを行わない
3. 変動費・固定費の管理を対象会社が行っていないため、損益分岐点が不明であることを放置する
4. 事業部門が複数あるにも関わらず、部門別の損益管理が十分でないにも関わらず、その内容を詳細に分析しない
5. 偶発債務、在庫の評価方法、支払回収サイトなどが、買い手の会計方針やサイトと異なっている場合にも、それらを買い手と同様に置き換えた場合の影響分析などを行わない
 
ほかにも種々の注意点がありますが、ざっと上記のような点は大きな影響があります
しかし、上記を明確にするには、いくつかの仮説と膨大な情報をもとにしたシミュレーションの実施などを行う必要性があり、時間も要するため、専門家でも実施しないことが散見されます。特に中小企業向けのM&Aでは相当起きているのではないかと思います
 
これらの点は、当事務所グループの株式会社KLASでは必ず実施します。その結果を十分に見ながら、M&Aの実施の判断を行っていただきたいと考えるからです
さらに、これらの結果、買収に関する契約書上、何を相手側に要求すればよいのかが明確になります
 
事業モデルの話については、別な機会に事業計画に関するコラムでご説明させていただきます
 
事業に関する理解については、買い手企業での認識の有無になりますが、単純なマーケット調査資料だけでは不足します。やはり、相当程度の業界情報の把握が必要です
 
最後に、人員の部分ですが、基本的に買い手企業が上下関係を意識した取組を一つでも行えば、基本的に失敗すると考えてください。もし、そこにいる従業員の方たちが気持ちよく働く環境を提供せずに、自社の押しつけなどをするのであれば、買収後の統合は失敗すると考えていただいて間違いないと思います
 
双方を尊重し、双方の強みを認識しながら、双方が成長していけるようなM&Aが、買い手に最大の果実をもたらすものと考えます
東京で会計顧問・税務顧問や、経営コンサルのことならお気軽にご相談ください。
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