基金拠出型医療法人への移行を考える

2014-11-14
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
今回のコラムでは、病院・クリニックで経過措置医療法人から移行を計画する際、もっとも有望な基金拠出型への移行の良い点と留意すべき点を考えてみたいと思います
 
平成19年4月からの第5次医療改革により、医療法人制度の大幅な改正がなされ、以前の持分の定めのある医療法人は、持ち分の定めのない医療法人への移行等を前提として、経過措置法人となっています
この経過措置の期限は特段ないのですが、平成26年10月から、移行を促進する認定医療法人制度や相続・贈与税の納税猶予制度が開始されたのは、すでに当コラムでも記載した通りです
 
経過措置医療法人から持ち分の定めのない法人への移行は、出資持分についての相続税の負担をなくすことができる一方で、出資持分に関する財産権を放棄するという点で、開業家として難しい選択となることが想定されます
さらに、公益性の観点から、医療法人のガバナンスについても大きな改正があり、開業家の同族の方が、理事、監事等に占める割合が1/3以下に抑えなければならないため、医療法人の直接的なコントルールが難しくなる可能性があります
 
もちろん、移行当初に大きな問題があるとは思わないのですが、長期的には、難しい点はあると思います
 
また、財産権を単純に放棄するという点が難しいと思われます。そのため、基金拠出型医療法人が有力な選択肢となってくると思います
 
基金拠出型医療法人は、出資持分という概念は無いのですが、出資持分を基金に振り替えることで、当初の拠出した基金の額については、拠出時の金額で将来退社時に払戻を受けることができるという点で、財産権が確保されます
また、病院のバランスシート上、重要な基金を抑えることは、物理的な運営上のガバナンスを効かせることができると思われるため、開業家にとっては良い選択肢だと思います
 
ただし、税金の面からは、基金拠出型医療法人は、必ずしも望ましい方法ではありません
 
1点目は、適用される税率が、社会医療法人や特定医療法人と比較すると高いことです。社会医療法人・特定医療法人が19%であるのに対して、基金拠出型医療法人の場合は、25%となっています
 
2点目は、相続税の観点からも、基金の相続としては、その財産的な評価額あるため、その財産に見合う相続税が必要になります。この点は、財産権の承継を開業家としては行いたいと思うのですが、承継すれば、それに応じた相続税がかかってしまう点は、デメリットとして出てしまいます
 
以前は、税務上の承認を直接とることができないというデメリットも指摘されていましたが、持分なし医療法人への移行計画について、認定を厚生労働省から受けることにより、その後の手続きで、相続税・贈与税の納税猶予などの承認をえることができるため、当該問題点はクリアされていると考えられます
 
このように考えると、ガバナンスと財産権の確保をすることに対して、どの程度コストを払ってもよいかと考えて、計画を練るということが必要だと思います
 
当事務所でも計画の立案や支援を行いますので、ご相談いただければと思います
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