従業員への給与・賞与を増やすと節税につながります!
2014-10-24
公認会計士・税理士の木本です
今回のコラムでは、従業員の方の所得を増やすと節税につながる制度をご説明します。
この制度は、基準年の給与水準から給与水準を増加させた場合、その増加した金額の10%相当額を、その期の法人税額(所得税額)から差し引くことができる制度になります。
この制度は、病医院・クリニックのみならずほとんどが対象になります。また、個人事業主も法人(医療法人も含みます)も対象です
この制度のメリットは、
①従業員の方の日々の努力にお礼を込めて実際に決算賞与などの方法で現金を支払うことができる(モチベーション向上)
②通常の賞与としての支払いによる損金算入のみならず、給与等の支給総額のうち、増加分の10%が税額から控除することで通常以上の節税を実現
と経営をよりよい循環に乗せることができます
さて、この制度はそれなりに理解しにくいのですが、非常に単純化して説明していきます
まず、下記の表をご覧下さい
上記の基準年度は、11月、12月が決算月の場合は、平成25年12月期となります(個人の場合は平成25年分となります)。なお、3月が決算月の場合は、平成25年3月期が基準年度となりますので、ご留意ください
適用初年度ですが、この制度、平成25年度の税制改正の対象となっており、平成26年4月から改正したものが適用されます。
改正前は、基準年度と比較して、適用初年度の雇用者給与等支給額の増加割合が5%以上だったのですが、上場企業の昇給額などの現状を鑑みて新たに改正され、増加割合は、2%以上(平成26年4月1日前に終了する事業年度、平成27年4月1日前に終了する事業年度)となりました。なお、その後の期間は増加割合が上昇しますので、注意が必要です
この制度を利用するための条件は、下記の通りとなります
① 基準年度と比較して、2%以上給与等支給額が増加していること
② 給与等支給額が前事業年度を下回らないこと
③ 平均給与支給額が全事業年度を下回らないこと
となっています。
①、②は、給与・賞与等として支給した総額に関する要件となります
これに対して③は、従業員の平均月額給与を算出し、これを比較するというものになります
①、②は単純ですが、③については、複雑な算定が必要になります
なお、③でいう、従業員とは、雇用保険法の対象者を従業員として定義します。ただし、高齢者で、「高齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度に基づき雇用される者」に対する給与は除きます
また、この制度は、新設法人について特例が設けられています。そのため、むしろ適用は受けやすくなっていますので、是非ご相談ください
本件、適用のための算出を正確に行う必要があるため、顧問税理士等に金額算出等を行ってもらう必要があります。
もし、お困りの際には、当事務所にお気軽にご相談ください。当事務所でも迅速にご対応させていただきます
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