病医院・クリニックの節税の全体像-再考。
2014-10-15
公認会計士・税理士の木本です
今回は、病医院・クリニックでの節税の全体像を解説します。当ホームページのコラムでも種々の「節税」という単語が飛び交っているのですが、いろいろな観点で整理することが必要かと思い、今回のようなコラムを入れます。もちろん、今後も、それぞれのアイテムごとの説明をさせていただきます
節税ということを考える際には、時間軸や対象という観点から、法人税(含む消費税・所得税)と相続税・贈与税に大きく分かれます
また、節税にあたって、1)事業の範囲において、追加の現金支出無しで行うもの、2)節税にために現金支出を伴うもの、に分かれます。さらに、2)については、資金の回収可能性の有無についても、検討することが必要になります
法人税(含む消費税・所得税)です。法人税(含む消費税・所得税)については、これまでも節税に関する議論で種々出てきていますが、纏めると下記のようになります
・医業に関する節税策(節税のための追加の現金支出が無いもの)
- 費用の未払計上(外注費や人件費・人件費関連費など)
- 事業用資産の減価償却方法(定率法)
- 中古資産の活用
- 租税特別措置法関連の特例(生産性向上設備投資などの特別償却あるいは税額控除)
- 小規模クリニックの場合は、費用の概算計上(措置法26条の適用)
- 少額固定資産の特例の利用
- 親族による労働役務の提供(労働実態通りとなります)
・医業外に関する節税策(節税のための追加現金支出が必要なもの)
- 金融資産への投資
- 福利厚生あるいは社用車の購入による投資
- 生命保険への加入による節税(たとえば、掛け捨てタイプ)
- 不動産投資(たとえば中古の木造アパートへの投資など)
があります。ただし、医業に関するものと異なり、これらの節税策は税金を圧縮することは可能ですが、それとともに、現金も流出する可能性が非常に高いといえます
そのため、十分な検討が必要だと思います。個人的には、税金のメリットとその支出が100%回収されるという点が一つの考え方かと思います。ただし、生命保険で、掛け捨てタイプなどは、個人に何等かの予期せぬ不幸に対応する一環として考えるということであれば、有意義だと思います
いずれにしても、上記のように医業に関する節税策を、十分検討することが重要だと思います
さらに、各期のタックスプランニング-その期の収益を見込、必要な対策を考えていくこと-は、本質的な節税策だと考えます。そのため、当事務所では、月次決算を重要視しています。さらに、見込決算書の作成によるタックスプランニングも実施させていただきます
スペースの都合上、相続税・贈与税関連は、次回以降のコラムで記載させていただきます。。(涙)。。
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