税法を考える際には常識に照らしてください!

2014-11-10
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
今回のコラムでは、最近いくつかの質問であったよくある税務の取り扱いに関する少々おかしな判断事例を紹介し、この事例から税務を読み解く上で重要なことを記載していきます
これは、税法だけでなく、通常の法律一般・すべての経営問題も含めてすべてに応用される話です。実際に小職がこれまでM&Aや通常の取引法も含めて対応した際に、もっとも重視している考え方です
 
その考え方とは、「法律上の取り扱いが、各利害関係者の損得を考えた際に、自分の常識と比較しておかしな結果になっていないかどうか?」ということです。
 
先日の質問とは、減価償却資産の時価が問題になりました。非適格分割になる場合においてその時価をいくらにするかという点について、種々の意見が交わされました
 
当初から、減価償却資産の使用状態などについて調べると、
①通常の使用時間で当初から使用しており、投入当初に大きく使用時間が偏るという半導体業界などにみられるような特徴はない
②耐用年数についても本来の意味での経済的な耐用年数を同一あるいは、経済的な耐用年数が長くなる(耐用年数満期以上に使用しているという意味です)
③すでに成熟化している業界であることから、設備の技術的な陳腐化なども特段ない
 
以上から、対象となっている設備は、定額法により減価償却されています。当初は、分割する側の会社もその資産が簿価(未償却残高)=時価であると認識していました。しかし、とある税務の専門家より、「基本通達9-1-19において、減価償却資産の時価は、旧定率法により評価する場合は、これを時価と認める」と記載されているとの指摘がありました
 
ここからが問題です。基本的に、基本通達というのは、よく上場会社などでもあるのですが、社内規定に規定されていないことを、別途ルール化する際に、「通達」というものを全社に出します。税務でいう基本通達も、基本的に税当局から個別の取り扱い方法について、記載してものであり、法律ではありません
また、この基本通達は、基本的に「減価償却資産を含む固定資産の評価減」に関する部分の取扱いとして、その時価の算出の一つの方法を示したものであって、時価の方法を規定したわけではありません
 
しかし、この基本通達が規定された背景が全く無視された議論が起こりがちです。それは、基本通達に「・・・」と書いてあるから、これに従わないといけない、という議論が起こることです。
先ほども触れたように、この基本通達は考え方の一つが示されただけです。また、原則論としては、減価償却自体は、固定資産の価値の下落を表す方法であり、時価の代替という基本的な考え方があります
 
したがって、このケースでは、時価が簿価であるとみなされることになり、その際の減価償却方法が旧定率法かどうかは関係なく、これまで資産の利用実態などに応じて適切に選択した方法で減価償却した場合の未償却残高で良いということになりました
 
上記のように、前例や条文だけを気にしてしまう実務家が多くいます。結果的に、関係者が振り回されてしまいます。しかし、何事も重要なことは、原理原則論は何か?その施行令や通達はなぜできたのか?という背景が重要であり、その背景を基にした場合に、今自分の前におきている事象は、適合するのかどうか?という判断をすることが必要です
 
今回のコラムは、少々複雑になってしまいましたが、重要なことは「通達にあるから」(前例や条文があるから)という理由だけで納得してはいけないということです。専門家のすべてが良く考えてから物事を判断する人ではありません。その理由として個人的な考えを述べますと、専門家の修正として、通達や条文に書いている方が、税務署や国税局から調査時に指摘される可能性がすくないと、単純に考えて指導している人が多いように思えます
 
このことは、自分自身にも常に言い聞かせていますが、みなさんも顧問税理士などからの指摘事項がおかしいときなどは、よくその内容を確認していただければと思います
もちろん、特定のことでセカンドオピニオンがほしいなどの場合も、ご相談いただければと思います
東京で会計顧問・税務顧問や、経営コンサルのことならお気軽にご相談ください。
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