経過措置医療法人から基金拠出型医療法人へ移行する際の注意点

2014-12-17

 

 
公認会計士・税理士の木本です
 
金融市場は、今日も荒れ気味ですね。ロシアルーブルの下落に歯止めがかかりません。もともとは、皆さんがご存知のようにシリア問題に端を発し、各種の制裁が行われました。この時点で地政学リスクが種々言われましたが、今回は、原油安による影響です。新興国で著しい発展をしている国の多くは資源国です。しかし、現在のような原油価格や天然ガスの価格水準になってしまうと、資源国の経済には大打撃となってしまいます。特に、通常の油田開発ではなく海洋油田やシェールオイル・ガスの場合は、開発コストも相当程度高いため、OPEC諸国と比較すると、ロシアなどの油田では、競争力が低く、結果として、これまでのような資源国だから大丈夫、という観点がなくなってしまいます
その結果、ルーブルはさらに売られてしまい、それが、ヘッジファンドなどを引き寄せ、更なる相場下落を引き起こしているように見えます。いずれにしても、このような事態が起きると、基本的に、安全資産である円は、買われる傾向となり、円高となります。現状の状況は、少々異常な価格変動リスクがありますので、今後の動向に注意が必要な分野だと思います
 
さて今回のコラムですが、今回は、経過措置医療法人が基金拠出型医療法人へ移行する際の税務上の注意点を説明したいと思います
 
経過措置医療法人が基金拠出型医療法人に移行する際に、認定制度を利用し、相続税・贈与税の納税猶予・免除制度を利用し、税額を可能な限り圧縮することができることについては、以前のコラムでご説明した通りです
 
以前のコラムでは、認定制度により認定を受けた認定法人が、認定に際して提出した移行計画にしたがって、「持分の定めのない法人」への移行をした場合に、相続・贈与税の納税猶予が行え、さらに、最終的に移行を行った後に出資持分の放棄を行うと相続税・贈与税が免除されるという制度を紹介しました
 
しかし、基金拠出型医療法人へ移行するに際しては、一部例外があり、相続税・贈与税が猶予・免除されないケースがあります
 
これは、他の出資者が持分を放棄し、医業承継者が保有する持分のみを基金に拠出する場合に問題になります
 
これは、持分の割合が30%であった場合に、医療法人の純資産が100だとした場合、自己の持分は100×30%ですので、30となります。
また、他の持分保有者の合計額は、70になります。
 
この際、他の持分保有者が全額放棄した場合を想定します
 
放棄すれば、当然その分だけ、医業承継者の持分の価値は増大します。例を単純化すると、70全員が放棄した場合、当初30しかなかった医療承継者持分の価値は、70が加算され、100になります。
そこで、100を基金に拠出するということもできますが、その際に、当初から増加した70部分の贈与税が問題になります
 
これは、考えれば当然ですが、もともと、70部分は他の出資者の放棄により増加した経済価値であるのに、この価値が基金拠出額に加算されるため、医業承継者の財産価値がその分(70)だけ上昇します。この点は、財産価値の増加が起こっている以上は、猶予・免除対象としないということになっております
 
上記を整理すると、当初の移行前の持分の価値分だけの基金拠出であれば、相続税・贈与税は免除されますが、当初の価値を超える基金拠出を行うと、贈与税・相続税は免除されません
 
この点、基金拠出型へ移行することを考えている場合は、慎重にご対応をとることをお勧めします

 

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