経過措置医療法人の出資持分の評価方法とは?

2014-11-05
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
今回のコラムでは、経過措置医療法人の相続税・贈与税における評価方法について、記載させていただきます
 
第5次医療改革後も、依然としてかなりの数の経過措置医療法人があります。厚生労働省のホームページでも種々の情報が出ており、基本的には持分の定めのない医療法人への移行を促す内容となっています
しかし、依然として経過措置医療法人が存在する以上、出資持分の評価が問題となる場面は多いと思います
 
経過措置医療法人の出資持分については、従来と同様に財産評価基本通達194-2に規定されている「医療法人の出資の評価」に即して評価することとなります
基本的な考え方としては、相続あるいは贈与を受けた時点での時価を持って、評価額が決定されますが、その評価額を算出する時点でももっとも問題になるのは、当初の出資額と比して非常に多額に上る剰余金の額です。この金額が評価額に上乗せされることとなり、相続人あるいは被贈与者の負担を大きく増大させることとなります
 
なお、医療法人の出資持分の方法は、財産評価基本通達における「取引相場のない株式」の原則的評価方法に準じて計算した金額によって評価することとされています。
 
評価を行うには、
① 医療法人を大会社・中会社・小会社の区分に分ける(従業員数、総資産価額、年取引金額に応じて決定)
② それぞれの区分に応じて、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、両方法を併用する方法により評価
なお、評価対象となっている医療法人が「比準要素数1の会社」、「株式保有特定会社」、「土地保有特定会社」などに該当する場合には、それぞれの評価会社にあった評価方法で評価することが必要になります
 
以上が、原則論になりますが、医療法人の特性により、一般事業法人の相続税・贈与税における評価方法とは以下の点で異なります(主なもの)
a) 剰余金の分配が禁止されているため、「配当還元方式」の利用はできません。また、権利落ちなども考慮する必要はありません
b) 議決権割合の判定は必要なく、すべての社員が平等です
c) 類似業種比準方式では、比準するものが、「1株当たり利益」、「1株あたり純資産」、「1株当たり配当」ですが、医療法人の場合は、「1株当たり配当」は除かれます
d) 相続等により株式を保有することとなった者とその同族関係者が有する株式の議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合の純資産価額の評価減(20%)については、医療法人では、社員の議決権が平等であることから、本規定の適用はありません
 
以上のような形で、出資持分を評価することになりますが、重要な点は、上記のような方法により、多額の含み益が相続等により実現してしまうことです
 
そのため、これらの税務負担を軽減するための「持分の定めのない医療法人への移行」が、医業承継後の医業経営安定のため本当の意味で望まれるのだと思います
東京で会計顧問・税務顧問や、経営コンサルのことならお気軽にご相談ください。
Copyright(c) 2016 木本公認会計士税理士事務所 All Rights Reserved.