Archive for the ‘事業承継コラム’ Category

経過措置医療法人から基金拠出型医療法人へ移行する際の注意点

2014-12-17

 

 
公認会計士・税理士の木本です
 
金融市場は、今日も荒れ気味ですね。ロシアルーブルの下落に歯止めがかかりません。もともとは、皆さんがご存知のようにシリア問題に端を発し、各種の制裁が行われました。この時点で地政学リスクが種々言われましたが、今回は、原油安による影響です。新興国で著しい発展をしている国の多くは資源国です。しかし、現在のような原油価格や天然ガスの価格水準になってしまうと、資源国の経済には大打撃となってしまいます。特に、通常の油田開発ではなく海洋油田やシェールオイル・ガスの場合は、開発コストも相当程度高いため、OPEC諸国と比較すると、ロシアなどの油田では、競争力が低く、結果として、これまでのような資源国だから大丈夫、という観点がなくなってしまいます
その結果、ルーブルはさらに売られてしまい、それが、ヘッジファンドなどを引き寄せ、更なる相場下落を引き起こしているように見えます。いずれにしても、このような事態が起きると、基本的に、安全資産である円は、買われる傾向となり、円高となります。現状の状況は、少々異常な価格変動リスクがありますので、今後の動向に注意が必要な分野だと思います
 
さて今回のコラムですが、今回は、経過措置医療法人が基金拠出型医療法人へ移行する際の税務上の注意点を説明したいと思います
 
経過措置医療法人が基金拠出型医療法人に移行する際に、認定制度を利用し、相続税・贈与税の納税猶予・免除制度を利用し、税額を可能な限り圧縮することができることについては、以前のコラムでご説明した通りです
 
以前のコラムでは、認定制度により認定を受けた認定法人が、認定に際して提出した移行計画にしたがって、「持分の定めのない法人」への移行をした場合に、相続・贈与税の納税猶予が行え、さらに、最終的に移行を行った後に出資持分の放棄を行うと相続税・贈与税が免除されるという制度を紹介しました
 
しかし、基金拠出型医療法人へ移行するに際しては、一部例外があり、相続税・贈与税が猶予・免除されないケースがあります
 
これは、他の出資者が持分を放棄し、医業承継者が保有する持分のみを基金に拠出する場合に問題になります
 
これは、持分の割合が30%であった場合に、医療法人の純資産が100だとした場合、自己の持分は100×30%ですので、30となります。
また、他の持分保有者の合計額は、70になります。
 
この際、他の持分保有者が全額放棄した場合を想定します
 
放棄すれば、当然その分だけ、医業承継者の持分の価値は増大します。例を単純化すると、70全員が放棄した場合、当初30しかなかった医療承継者持分の価値は、70が加算され、100になります。
そこで、100を基金に拠出するということもできますが、その際に、当初から増加した70部分の贈与税が問題になります
 
これは、考えれば当然ですが、もともと、70部分は他の出資者の放棄により増加した経済価値であるのに、この価値が基金拠出額に加算されるため、医業承継者の財産価値がその分(70)だけ上昇します。この点は、財産価値の増加が起こっている以上は、猶予・免除対象としないということになっております
 
上記を整理すると、当初の移行前の持分の価値分だけの基金拠出であれば、相続税・贈与税は免除されますが、当初の価値を超える基金拠出を行うと、贈与税・相続税は免除されません
 
この点、基金拠出型へ移行することを考えている場合は、慎重にご対応をとることをお勧めします

 

経過措置医療法人の移行先の法人の有力候補

2014-12-15
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
選挙が終わり自民党圧勝となりました
もちろん、いろいろな感想は皆さんお持ちだと思いますが、個人的には状況を受け入れながら、自分の職務として実施可能なことは何かを考えながら、業務上の必要なことを行い、社会貢献をしていくことを考えております
 
さて、経過措置法人が「持分の定めのない法人」に移行する場合、多くの経過措置医療法人が移行するパターンとして、「基金拠出型医療法人」が挙げられます。その理由について、今回は説明したいと思います
 
この問題は、このコラムでも何回か触れていますが、平成19年4月以降の第5次医療制度改革において、「持分の定めのある医療法人」の設立ができなくなり、既存の「持分の定めのある医療法人」は「経過措置医療法人」として、将来的に「持分の定めのない医療法人」への変更を求められています
この際に、既存の「持分の定めのある医療法人」が移行する場合に想定される法人としては、基金拠出型医療法人が多くなるものと想定されています
 
基金拠出型医療法人とは、医療法人に現状の持分等をすべて放棄するものではなく、持分の価値の一部あるいはそれを超える金額の基金を拠出し、医療法人の運営を行っていくこととなります
 
従来の「持分の定めのある医療法人」と「基金拠出型医療法人」との差異は、開業家として、「出資」を持つのか、それとも「基金を拠出」するだけなのかという点が差異となります
 
出資は、いわゆる法人の意思決定上の議決権と、法人の純資産等の増加に伴い、財産的な価値も増大する特徴を有する財産権の2つを保有します
この点は、通常の株式会社などの会社の出資と同様に考えることができます
 
出資は、当初の拠出が100万円でも、過去の利益の蓄積(合計額)が5億円あれば、5億1万円で評価することになります
 
これに対して、基金の場合は、当初の拠出が100万円であれば、将来利益が蓄積されたとしても、100万円の財産価値しかありません。さらに、基金の場合は、議決権などもありません
 
そのため、基金とは、財産権のみを保有するものと理解していただくとわかりやすいと思います
 
また、なぜ基金拠出型医療法人への移行が多くなるのかという点については、それ以外の方法だと、現在の経過措置医療法人に対する出資持分を全額財産的にも放棄する必要があるのに対して、基金拠出型では、出資者として財産権はある程度確保できるというメリットがあります
 
この点は、開業家として病院・クリニックを大切に思えば、財産的にある程度ガバナンスを働かせることができる基金拠出型の方が経営上も安心だと思います
 
以上の点から、経過措置医療法人の移行先として、基金拠出型医療法人が多いのは、理解いただけたかと思います
 
しかし、基金拠出型医療法人への移行には、税務上の問題もはらんでいます。この点は、次回のコラムでご説明します

医療法人の持分の払戻では注意を!

2014-12-03
 
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
ついに衆院選が始まりました。また、世界経済も変調をきたしているように思えます。
もちろん、米国の金融緩和の出口戦略への切り替えや欧州・日本・中国の金融緩和などが、混沌とした経済をさらに混沌とさせているようにも思えます
ただ、現状の状況が続く限り、ドル円は、円安に向かうと思いますし、資産効果だけで日本株は現状の水準を維持あるいはもう少し上昇する可能性を持っていると思います
 
さて、今回のコラムでは、病院・クリニックの方向けの、医療法人の組織移行時の準備として、一部社員の持分の払戻に関する税務上の論点となります
 
先日のコラムでも記載した通り、持分の定めのない医療法人への移行に関しては、移行計画の認定制度が、平成26年10月1日から法制度が施行しました。
また、それと合わせて、相続税・贈与税の納税猶予・免税制度もできました。この方法は、将来的には、究極の節税策になると思いますが、いくつかの点で注意しなければならない点があります
 
この移行により、もっとも多く選択されるであろう、基金拠出型医療法人です。
この基金拠出型医療法人への移行に際して、出資者が持分の一部を基金拠出する場合の処理は以下のようになります
①出資持分の払戻
②払戻額が、財産基本通達等の方法により時価評価し、払戻を実施
 
上記の、②の時にですが、当初の出資額を超えた場合、その超えた額(通常は、剰余金の額に持分比率を乗じた金額になります)は、「みなし配当」として出資者の所得税の課税対象になり、税金がかかります
この制度は、当初の出資額を超えた時価で払戻を行うということは、剰余金の払戻を行ったものと考えられるため、この超える部分は、配当とみなすして課税するという制度となります
 
相続税・贈与税については、猶予制度ができていますが、上記の部分は、所得税法で規定している部分になります。
 
なお、このみなし配当ですが、こちらは、例えば通常の事業法人でも、株主が事業法人に時価で買い取ってもらう場合で、当初の出資額を超えた時価で支払を受ける場合も同様の取扱いになります
 
さらに、この配当は、非上場会社の有価証券という位置づけになるため、分離課税ではありませんが、確定申告により配当控除を受けることはできます。また、医療法人側では、払戻に際して源泉徴収を行うことが必要ですので、注意してください

 

医療法人の方、法人の組織の変更には税務上の注意が必要です

2014-11-29
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
今回のコラムでは、「持分の定めのない法人」への移行に伴う税務問題を考えていきたいと思います。これは、特に出資持分の放棄による贈与税がかかるかどうかなどの問題点が、相続税・贈与税の納税猶予制度を利用した場合でも、問題になる可能性があるという点が、今週の税務通信において取り上げられています
 
この点、説明していきます
 
病院・クリニックの方も、以外と知らない方が多いかも知れない、移行の話。
 
特に、平成19年3月末日以前に設立した医療法人は、ほとんどが出資に関する「持分の定めのある法人」になっています。
これは、医療法人の貸借対照表に資本金がある場合は、この法人に該当します
 
第5次医療制度改革において、病院・クリニックの公益性および存続可能性の確保の観点から「持分の定めのない法人」の設立のみが認められ、依然に認められていた「持分の定めのある法人」-社員が定義され、各社員ごとに持分の定めが定義されている法人-は、設立が認められず、「持分の定めのない法人」に移行することが要請されています。
そのため、「持分の定めのある法人」は、経過措置法人と言われております
 
この経過措置法人が、「持分の定めのない法人」への移行を計画し、厚生労働大臣から計画の認定を受け(認定医療法人)ることにより、移行の際に出資者の持分放棄による贈与税や出資者の死亡による相続税負担が、最大3年間猶予され、最終的に出資者(相続人を含む)が持分を放棄すれば、相続税・贈与税が免除されるという制度があります
 
この制度がわかりにくいということであれば、追加でご説明しますので、当事務所にご連絡ください
 
上記の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度ですが、この制度を適用したとしても、医療法人が出資者からの持分放棄を受けたときに、贈与税がかかってしまう-みなし贈与課税といいます-があるようです
 
これは、相続税法や施行令に規定されていますが、医療法人の組織体制に不備がある場合は、贈与者の親族らへの「相続税又は贈与税の負担が不当に減少する」という結果をもたらすことにとなるため、法人の組織の運営体制として、
 
① 医療法人の運営組織が適正であること
② 役員等の親族等の占める割合が1/3以下であること
などがあります
 
上記の②で、従来から名目上の理事を据えることによりクリアしている場合は、②の要件を”満たさない”と判断されることがあるようです。したがって、組織運営体制の見直しも、合わせて行うことが重要だと思います
そのためには、名目的な理事業務に従事していない理事ではなく、本当に職務上必要な人員に理事を行ってもらう必要があると考えます
 
過去における医療法人への移行は、基本的に税務上の節税メリットの観点から行われてきている側面は否定できません。しかし、税務から求めているのは、非常に原理原則に沿った話を展開しており、その点は、医療法人側との意思の相違があります
 
移行認定制度によれば、すべてがクリアされるというイメージをまずは払拭し、原理原則に沿った運営ができているのかをもう一度再点検することが必要であると考えます

税務調査の結果のペナルティとは?

2014-11-19

 

 
公認会計士・税理士の木本です
 
衆院が解散総選挙になりました種々言われていますが、個人的には”なぜ”という点は、正直あります
また、辞任した2閣僚のことを非難するよりも、与野党ともにこの国の経済を上向かせるための議論に、正面から向かっていただきたいと心底思います
 
企業等についても現状の円安をうまく活用する方法を真剣に考える必要があると思います。特に中小企業にとっても、自社の製品や商品を海外に輸出し、商売を広げるためのチャンスだと思います
当事務所グループでも、ビジネスマッチングも含めて、ご対応できるように常々考えております。種々状況も整いつつありますので、海外進出を悩まれている場合は、お気軽にご連絡いただければと思います
 
さて、今回のコラムですが、税務調査におけるペナルティを考えていきたいと思います
 
当事務所のコラムでも種々税務調査上の重要事項をご説明しました。これらの事項への注意を怠った場合や仮装隠ぺいなどの悪意での粉飾決算による課税所得隠しがあった場合には、どのようなペナルティが発生するのか?という点をご説明しますので、今後の税務調査重要要点に留意を行ってください
 
ペナルティですが、よく所得申告漏れなどの記事が新聞にも記載されていますが、その際に、延滞税だけでなく、加算税や重加算税などのキーワードが出ていると思います。この3つの要素と刑事罰がある場合もありますが、今回は金銭的な話にフォーカスします
 
ペナルティとしては、主に、上記の3つになります。ただし、法人税で所得隠しがあった場合などは、消費税や地方税にも影響があります。これらの延滞税・加算税・重加算税といった項目も必要になりますので、その点はご留意ください
 
延滞税については、延滞した期間の金利になります。基本的に14.6%という非常に割高な水準です。これは、グレーゾーン金利に負けず劣らずというイメージですね。ただし、延滞税については、平成25年12月31日以前の期間までの取扱いや平成26年1月1日以後の期間の取扱いに特別に規定されている金利がありますので、その点は別途確認が必要になります
 
次に、税務調査の結果、修正申告または更生決定になった場合、過少申告加算税が課されます。これがいわゆる加算税です。加算税は、修正申告あるいは更生に基づいた納付すべき税額の10%となります。しかし、納付すべき税額にかかる期限内申告税額に相当する金額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、過少申告加算税の額は、その超える部分に相当する税額に15%の割合を乗じて計算した金額になります
そのほか過少申告加算税以外の加算税もありますが、そちらは別な機会にご説明します
 
最後に、重加算税です。これは、仮装隠ぺいがあった場合の取扱いになります。修正申告または更生の決定となった原因が仮装隠ぺいに基づくものである場合は、上記の過少申告加算税に代えて、重加算税が適用されます
重加算税は、仮装隠ぺいがされていないことが明らかな税額を控除した税額の35%と非常に大きなペナルティになります。またさかのぼる年数も通常の3年から大幅に増加します(最大7年)。そのため、重加算税の場合は、追徴税額が非常に大きくなります
 
以上のように、多額の追徴税額がペナルティとなります。節税はかまいませんが、脱税は上記のようなコストを発生させるため、結果として得するようなことはありません。法や政府の政策の趣旨にそったせ節税はお勧めしますが、脱税はコストが非常にかかる可能性が高く、善悪を除いても全く意味がありません
 
この点を十分にご理解いただきたいと思います

 

基金拠出型医療法人への移行を考える

2014-11-14
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
今回のコラムでは、病院・クリニックで経過措置医療法人から移行を計画する際、もっとも有望な基金拠出型への移行の良い点と留意すべき点を考えてみたいと思います
 
平成19年4月からの第5次医療改革により、医療法人制度の大幅な改正がなされ、以前の持分の定めのある医療法人は、持ち分の定めのない医療法人への移行等を前提として、経過措置法人となっています
この経過措置の期限は特段ないのですが、平成26年10月から、移行を促進する認定医療法人制度や相続・贈与税の納税猶予制度が開始されたのは、すでに当コラムでも記載した通りです
 
経過措置医療法人から持ち分の定めのない法人への移行は、出資持分についての相続税の負担をなくすことができる一方で、出資持分に関する財産権を放棄するという点で、開業家として難しい選択となることが想定されます
さらに、公益性の観点から、医療法人のガバナンスについても大きな改正があり、開業家の同族の方が、理事、監事等に占める割合が1/3以下に抑えなければならないため、医療法人の直接的なコントルールが難しくなる可能性があります
 
もちろん、移行当初に大きな問題があるとは思わないのですが、長期的には、難しい点はあると思います
 
また、財産権を単純に放棄するという点が難しいと思われます。そのため、基金拠出型医療法人が有力な選択肢となってくると思います
 
基金拠出型医療法人は、出資持分という概念は無いのですが、出資持分を基金に振り替えることで、当初の拠出した基金の額については、拠出時の金額で将来退社時に払戻を受けることができるという点で、財産権が確保されます
また、病院のバランスシート上、重要な基金を抑えることは、物理的な運営上のガバナンスを効かせることができると思われるため、開業家にとっては良い選択肢だと思います
 
ただし、税金の面からは、基金拠出型医療法人は、必ずしも望ましい方法ではありません
 
1点目は、適用される税率が、社会医療法人や特定医療法人と比較すると高いことです。社会医療法人・特定医療法人が19%であるのに対して、基金拠出型医療法人の場合は、25%となっています
 
2点目は、相続税の観点からも、基金の相続としては、その財産的な評価額あるため、その財産に見合う相続税が必要になります。この点は、財産権の承継を開業家としては行いたいと思うのですが、承継すれば、それに応じた相続税がかかってしまう点は、デメリットとして出てしまいます
 
以前は、税務上の承認を直接とることができないというデメリットも指摘されていましたが、持分なし医療法人への移行計画について、認定を厚生労働省から受けることにより、その後の手続きで、相続税・贈与税の納税猶予などの承認をえることができるため、当該問題点はクリアされていると考えられます
 
このように考えると、ガバナンスと財産権の確保をすることに対して、どの程度コストを払ってもよいかと考えて、計画を練るということが必要だと思います
 
当事務所でも計画の立案や支援を行いますので、ご相談いただければと思います

経過措置医療法人の出資持分の評価方法とは?

2014-11-05
 
 
公認会計士・税理士の木本です
 
今回のコラムでは、経過措置医療法人の相続税・贈与税における評価方法について、記載させていただきます
 
第5次医療改革後も、依然としてかなりの数の経過措置医療法人があります。厚生労働省のホームページでも種々の情報が出ており、基本的には持分の定めのない医療法人への移行を促す内容となっています
しかし、依然として経過措置医療法人が存在する以上、出資持分の評価が問題となる場面は多いと思います
 
経過措置医療法人の出資持分については、従来と同様に財産評価基本通達194-2に規定されている「医療法人の出資の評価」に即して評価することとなります
基本的な考え方としては、相続あるいは贈与を受けた時点での時価を持って、評価額が決定されますが、その評価額を算出する時点でももっとも問題になるのは、当初の出資額と比して非常に多額に上る剰余金の額です。この金額が評価額に上乗せされることとなり、相続人あるいは被贈与者の負担を大きく増大させることとなります
 
なお、医療法人の出資持分の方法は、財産評価基本通達における「取引相場のない株式」の原則的評価方法に準じて計算した金額によって評価することとされています。
 
評価を行うには、
① 医療法人を大会社・中会社・小会社の区分に分ける(従業員数、総資産価額、年取引金額に応じて決定)
② それぞれの区分に応じて、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、両方法を併用する方法により評価
なお、評価対象となっている医療法人が「比準要素数1の会社」、「株式保有特定会社」、「土地保有特定会社」などに該当する場合には、それぞれの評価会社にあった評価方法で評価することが必要になります
 
以上が、原則論になりますが、医療法人の特性により、一般事業法人の相続税・贈与税における評価方法とは以下の点で異なります(主なもの)
a) 剰余金の分配が禁止されているため、「配当還元方式」の利用はできません。また、権利落ちなども考慮する必要はありません
b) 議決権割合の判定は必要なく、すべての社員が平等です
c) 類似業種比準方式では、比準するものが、「1株当たり利益」、「1株あたり純資産」、「1株当たり配当」ですが、医療法人の場合は、「1株当たり配当」は除かれます
d) 相続等により株式を保有することとなった者とその同族関係者が有する株式の議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合の純資産価額の評価減(20%)については、医療法人では、社員の議決権が平等であることから、本規定の適用はありません
 
以上のような形で、出資持分を評価することになりますが、重要な点は、上記のような方法により、多額の含み益が相続等により実現してしまうことです
 
そのため、これらの税務負担を軽減するための「持分の定めのない医療法人への移行」が、医業承継後の医業経営安定のため本当の意味で望まれるのだと思います

病医院クリニックの相続税・贈与税「節税のすゝめ」

2014-11-04
 
 

公認会計士・税理士の木本です

 
前回のコラムでは、節税の全体像(主なもの)を説明しました。もちろん、MS法人や消費税に関する選択の問題など他の議論もありますが、オーソドックスなポイントをご説明しました
 
今回は、相続税・贈与税の節税の全体イメージとなります
 
こちらは、個人事業形態か医療法人によって異なります。もちろん、相続税・贈与税の節税の一つの方法として、個人事業形態から医療法人への移行という選択肢もあります。さらに、各病院・クリニックの財産の状況、損益状況、医業承継の後継者の有無、家族構成、最終的な財産として手元に残す金額など、かなり変数が増えてしまいます
 
そのため、一概にこれが節税ですとは言いにくいのですが、通常のケースで想定されるようなことをいくつか記載させていただきます。そのため、大きくは下記のようになります
 
1.個人事業形態
個人事業形態のままの相続ということであれば、根本的なところで通常の個人の相続税・贈与税と同様の問題になります
① 金融資産については、贈与や生命保険を利用することを検討する必要があります
② 居宅利用している家屋については、小規模土地の特例などの利用可能性などを検討することにより、節税の可能性を検討する必要があります
③ クリニックにかかわる資産についても、当該資産価値を評価下げできる可能性があるかを検討する必要があります
④ 最後に、個人事業から持ち分の定めのない医療法人への移行を検討する必要があります。当事務所でも移行に関する様々なシミュレーションを行っております。単純に、相続税等が抑えられても、医業遂行のためのコスト増加などに直面します。そのため、総合的かつ慎重に判断することが必要になります
 
2.持分の定めのある医療法人
持分の定めのある医療法人は、みなさんもご承知の通り、平成19年4月以降から経過措置法人として、その存在を認められています。持分の定めのある医療法人においては、その持分の評価方法が問題となりますが、根本的には、剰余金も含めた金額で評価することになります。したがって、この場合には、以下に剰余金を減少させるかということになりますが、この方法については、ある程度限界があることも事実です(事業法人と異なり、出資持分の評価方法に制限があるためです)
そこで、次の策としては、持分の定めのない医療法人への移行を前提とした、認定医療法人の申請と認可を取得することにより、相続税・贈与税の納税猶予及び免除を受けることを検討することになると思います。ただし、持ち分の定めのない医業法人への移行は、必ずしも最良の結果をもたらすものではありません
特に、移行後の医療法人のガバナンスという面から、開業家がそのまま実権を法的に握るということが形式的にできなくなります。これは、医療法人の
公共性という面との整合性から法改正ですが、その点については、何らかの対策が必要となります
当事務所では、開業家の意思を反映した形で、相続税・贈与税を節税する方策を確保することが必要であると考え、種々のシナリオをご提案させていただきながら、最終的なスキームを確立していくという方法を採用しています
 
3.持分の定めのない医療法人
持分の定めのない医療法人は、非常に方法が単純になりますので、本コラムでは割愛させていただきます
 
以上の通り、相続税・贈与税の節税のすゝめとして、検討点や当事務所の対応姿勢を記載しました。内容について不明であったり、追加でご質問等をある場合は、お気軽にご連絡いただければと思います

病医院・クリニックの医業承継対策としての移行計画について

2014-10-10
 
 
木本公認会計士税理士事務所 木本です
 
いよいよ今月から「医業継続にかかる相続税・贈与税の納税猶予・免除制度」が施行しました。この制度は、持分のある医療法人である病医院・クリニック(経過措置医療法人)の医業の継続をスムースに行うために、これまでの出資持分の放棄が前提ですが、相続税・贈与税を免除するものになります
もちろん、放棄するといっても、財産的価値が0になるわけではないため、開業家の資産を守りつつ、最終的に相続税・贈与税の免除を受けるという点では、非常に有効な節税策だと思います
 
さて、この制度を利用する前提が、厚生労働大臣からの「持分の定めのない医医療法人」への移行計画の認定です
 
認定を受けるためには、当該移行計画を十分に検討することが必要になります。以下が認定計画の概要になります
  1. 新医療法人であって、次に掲げる医療法人のうち移行をしようとするもの
    a) 社会医療法人(医療法42の2①)
    b)  特定医療法人(措置法67の2①)
    c)  基金拠出型医療法人
    d)  a)~c)以外の医療法人
  2. 移行に向けた取組の内容
  3. 移行に向けた検討の体制
  4. 移行の期限(認定された後3年以内)
  5. その他厚生労働省令で定めた事項
また、この上記のような移行のための計画のみならず、下記のような添付資料が必要となります
  1. 定款
  2. 出資者名簿(各出資者の氏名又は名称及び住所、出資額並びに持分の放棄の見込みを記載した書類)
  3. その他厚生労働省令で定める書類
以上のような形で、認定計画を策定し、定款変更に関する社員総会の決議後、添付書類とともに、認定計画厚生労働大臣(具体的には地方厚生局)に提出します。認定の期間は、医療介護総合確保促進法の施行の日から起算して3年以内にできます。平成26年10月1日~平成29年9月30日までがその申請期間になります
 
その後、認定の可否になりますが、その際の厚生労働大臣による計画認定ポイントは、以下のようなものになります。
  1. 移行計画がその申請をする経過措置医療法人の社員総会において議決されたものであること
  2. 移行計画が新医療法人への移行をするために有効かつ適切なものであること
  3. 移行計画に記載された移行の期限が厚生労働大臣の認定の日から記載して3年を超えない範囲内のものであること
上記のようなポイントであることから、基本的には、社員の持分放棄の具体的な方法と新法人への移行に関する手続き的な面や実務上の課題をクリアした現実的な計画を立てることが重要かと思います
 
 
相続がすでに発生している場合は、相続税の納税猶予の適用を受けるには、相続税の申告前に認定を受けることが必要になります。そのため、具体的には、相続開始後、10か月後の応答日までに認定を受けることが必要となります。これは、すでに相続が開始している人にとっても本制度の利用ができるという点では、有用な制度だと考えます
 
以上のように、経過措置医療法人の相続人・被受贈者にとっての医業承継を円滑に進めながら、節税を実現するために、認定医療法人になることは重要であると考えます。当事務所でも、当該認定取得のためのサポートを積極的にさせていただきます
 
まずは、無料相談にご連絡ください

持分の定めのある医療法人の今後について

2014-10-07
 
 
木本公認会計士税理士事務所 木本です
 
さて、今回のコラムでは、持分の定めのある医療法人の今後の選択肢について、制度概要を説明します
この点は、今後の医療機関の事業承継や相続税等の対策など、種々の場面で重要になります。また、それぞれの法人の特質と経営のガバナンスの考え方を整理して、適切な法人を選択することが重要と考えます。
 
過去のおさらいになりますが、平成18年度の第5次医療改革により、平成19年4月より持分の定めのある医療法人の設立ができなくなり、代わりに非営利性で公益性の高い「社会医療法人」と、拠出者の持分は拠出額を限度とされる拠出型医療法人との2つの新たな制度ができました
 
改正前と現行の医療法人の内容については、以下の通りです
 
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上図の通り、特定医療法人、財団医療法人、持ち分の定めのない社団医療法人はそのまま存続しますが、日本の医療法人の大勢を占める持分の定めのある社団医療法人は、経過措置経過後に拠出型医療法人あるいは都道府県の認可を取ることにより、社会医療法人への移行が想定されます
 
この取扱いの差異については、医療法の法改正の趣旨が、医療法人の経営基盤を強化し、元来の医療機関の公共性を確保するための改正であり、当該趣旨に沿ってそれぞれの法人の取扱いが異なっています
特定医療法人については、もともと医療法ではなく租税特別措置法における税制上の優遇措置であることから、医療法の改正とは関係がないため、この改正後もそのまま残っています。もちろん、将来的な制度変更の可能性はあります
特別医療法人は、平成24年3月に廃止され、社会医療法人へ移行しました
財団医療法人と社団医療法人のうちの持分の定めのないものについては、制度趣旨に適っているため、そのまま存続しています
 
最後に、日本の医療法人の大勢を占める「社団医療法人のうちの持分の定めのあるもの」及び「出資額限度法人」については、第5次医業改革の制度趣旨に適っていないため、平成19年4月以降は、これらの法人の設立ができなくなり、現状の法人についても経過措置医療法人として、将来的に他の法人(基金拠出型医療法人)に移行することが要請されています
 
今後は、納税猶予・免除制度なども考慮に入れて、事業承継と承継後のガバナンス医療法人の社会性を考慮した移行計画を考慮することが重要です。
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