M&Aの現場から:大手傘下入りを検討している会社のケース

2014-09-19
 
 
 
木本公認会計士税理士事務所 木本です
今回は、グループの株式会社KLASのM&Aチームより、関与案件を基に、大手傘下入りを検討している会社のケースをお話しながら、現在検討している方々のお役に立てばと思います
 
大手傘下入りする場合に、問題となるのは、いくつかあるのですが、結局のところ
1) 自社の存在価値
2) 大手傘下入りすることにより受けるベネフィット
3) 自社が傘下入りすることによる、受け入れ先におけるベネフィット
 
の3点に集約されます
 
A社は、自動車部品メーカーです。またB社は、総合電機メーカーです。B社の中には、自動車部品事業があります。本案件では、この事業を大手であるA社に譲渡することを検討し、実行しました。
 
B社の自動車部品事業(対象事業といいます)については、上記の3つの視点から整理すると
1) 顧客基盤とサポート体制
2) (対象事業部門長やB社の考えですが)投下資本の制約から解放されること、技術的な相乗効果があること、人事面での交流もあり統合しやすい
3) (対象事業部門長やB社の考えですが)対象事業を他者にとられるデメリットが大きい。顧客基盤の充実につながる
 
という状況です
 
 
本件は、正直なところ双方に当初から信頼感があったため、それほど大きな問題はなく進みました。現時点では、このような業界では、基本的に売り手が有利な状況です。そのため、売り手の要望を相当程度、買い手が受け入れた状況です
 
買い手にとっては、今後の自動車業界の成長や当該取扱い部品の将来性などを考えると、対象事業は魅力的です。ここでいう魅力とは、現時点での製品の質ではなく、その製品が担っている機能です。その機能は、将来にわたっても重要であるし、今後も継続的な研究開発を行っていくことで、代替新製品の導入も可能であると判断した点です。
また、買い手にとっては、対象事業が別な競合他社に譲渡されると、競合他社との競合状況がより厳しいものになるというシナリオ分析もありました
結果、買い手としては、よほどのマイナスがない限りは、引き継ぐ決心をしたようです
 
売り手サイドとしては、譲渡価格の最大化と雇用条件などの従業員・経営陣の処遇が最大の関心事になります。譲渡価格は、中立から若干不満、従業員・経営陣の処遇については、満足という条件でした。
正直なところ売り手サイドとしては、価格も十分であることが重要です
 
しかし、B社の社長および担当取締役は、現在の従業員・経営陣の処遇と彼らの将来の安定性を確保することを優先させました
結果としては、価格については、抑え気味となりましたが、従業員・経営陣の処遇については、ほぼ満額回答となりました
 
本件で重要なことは、譲渡価格の満足度と対象事業の経営陣・従業員の処遇などを含めた条件面や将来の安定性は、対局にあるものです。
 
その理由ですが、価格が高いということは、当初の段階からA社にとって収益性の悪い事業になってしまいます。そのため、当初のA社の対応としては、経営陣・従業員の処遇を落としたり、将来の安定性についても相当な不安があります。
 
したがって、グループ再編や事業承継において、事業の譲渡などを検討している場合には、対象事業の経営陣・従業員、買い手の傘下入り後の事業計画などを考慮に入れながら、譲渡価格の検討をしていただければと思います。
 
 
東京で会計顧問・税務顧問や、経営コンサルのことならお気軽にご相談ください。
Copyright(c) 2016 木本公認会計士税理士事務所 All Rights Reserved.