M&Aの相談事例

 

1. 売り手企業の成功事例

某機械部品メーカーA社が、主要な部門(R部門)の売却を検討していました。

A社は、買い手企業(X社)の主要取引先の1社であり、A社のX社依存度は80%を超えていました。
A社としては、R部門の売却は業績に大きく影響を及ぼすことが明白で、再建プランも含めて検討することが必要でした。
また、X社からのR部門の提示価格は、A社の期待値の60%程度であり、A社内でも売却に反対する取締役も多くいました。

このようなケースでは、当時会社では冷静な判断ができず、売却を断ることも容易に想定されます。
しかし、アドバイザーから、当案件を断った場合と断らなかった場合のシナリオが提示され、当該シナリオでは、両者のシナリオにそれほど相違はありませんでした。

ただ、相違がなかったのは、現在価値で図った金銭的な評価額であり、売却を断念した場合には、X社との取引が2年以内に停止するため、新規契約を取っていくことが必要となっていました。
この段階で、金額的な評価は一緒であっても、リスクのレベルが全く異なるという点が明確になり、最終的に本件を進めることとなりました。
 
当該事例では、当事者ではないアドバイザーのシナリオ分析およびA社とアドバイザーにより、株主へのIRを意識した再建計画の策定とR事業売却のリリースとともにマーケットに公表することにより、株式市場の動揺(株価急落)を抑え、明確な方針を提示しながら、重要事業の売却がスムーズに行うことができた成功事例です。
 

2. 入札による売却成功事例

B社は、入札によりK事業の売却を計画していました。

K事業の売却にあたっては、売却後も買い手企業とB社との間で、K事業を通じて重要な取引が継続することとなっていました。
B社からの要望は、売却後の取引をB社に有利にするような条件を出せる買い手に売却したいとのことです。

早速アドバイザーとしては、売却後の取引条件を有利にすることと、その場合のK事業の価格の関係を説明し、どちらを優先するのかをB社と協議しました。
最終的にはK事業の価格よりも取引条件を優先したいとの結論に至りました。

この結論にたどり着いた結果、入札の方針は明確となり、取引条件と価格の双方であるものの、価格は純資産で固定(現状の取引条件のままであれば、純資産の2倍程度の価値があることが分かっていました)しました。
これにより、当案件において、B社が買い手候補会社と交渉すべきポイント・交渉戦略の明確化を図ることができました。
当該ポイントを中心として、当初から買い手候補会社と交渉した結果、当初の計画を超えた条件を受けることができた事例です。

このように、ポイントを明確にするためには、シミュレーションだけではなく、当事者として、優先すべきポイントを明確にしていく論理的な整理に関するサポートをアドバイザーから得ることができたという点が、本事例の成功ポイントになります。
 

3. ブレイクした事例から得ることができる教訓

M&A取引では、基本合意を締結した後でも取引を解消するケースは非常に多くあります。
取引の途中で、なんらかの要因によって取引を中止することをディールブレイクとよく表現されます。

ブレイク自体は非常に健全な行為ですので、M&A取引を行うに際しては、途中まで案件が進捗していたとしても、当初の事業計画が全く達成できそうにないケース、買収先の企業にあるはずの技術水準が想定よりもはるかに低い場合、買収先企業の存在価値がヒトである場合、環境問題を起こしている場合など、非常に多くのケースで案件が中止しています。

当社では、ブレイクした案件から得られる教訓というは、M&A取引を行うに際して、売り手・買い手ともに取引を中止する条件を当初からあらかじめ設定しておくことが必要になります。
もちろん、中止するための基準は、一概にいえるものではないことから、慎重な検討や取引を進めながら検討していくことが必要だと思います。

しかし、このような指針を当初から設定しようとする努力および基準が必要であるという認識を持つことが非常に重要だと考えます。
この点は、事業の撤退基準を持つことと非常に近似していると考えます。
M&A取引でも当初の想定と異なることが発生し、当該事項のリスクが、案件の取組価値自体を左右するようなケースや発生するリスクを買い手が負えないケースなどでは、冷静に判断し、ディールをブレイクさせる勇気が必要になります。

なお、ディールをブレイクさせるには、双方が誠実に交渉した結果としてブレイクするという結論に至る必要性があります(基本合意書では、誠実交渉義務は、当然に要求されます)。
そのため、ブレイクを検討するに際しては、それが、誠実交渉義務に抵触しないかどうかなども含めて検討することが必要になります。
この点は、経験豊かなアドバイザーを確保しておくことが必要な要因の一つになると考えます。

 

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